HACCPは、国際的に認知されている食品衛生管理の制度です。食の安全性確保に大きな役割を果たすため、HACCPの導入は消費者にとって安心要素の1つとなっています。
この記事ではHACCPの義務化と飲食店がするべき内容を解説します。
HACCPの義務化とは?
2020年6月1日より改正食品衛生法が適用になり、食品を取り扱う企業・飲食店でHACCP義務化が始まりました。
飲食店では大規模レストランから、個人経営しているお店まで、規模は関係なくHACCP義務化の対象となります。
そもそもHACCPとは、「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略称で、食品管理の工程ごとに確認・記録を行う衛生手法です。
製造工程の中で異物混入などの問題が生じた際、出荷する前に対処できるため、効率よく食品を管理できます。
2020年6月1日に義務化が始まって以降、HACCPを導入する企業、飲食店が増えていきましたが、
全体の22%ほどしか導入していない現状があります。
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/syokuhin_doukou2/
HACCPの完全義務化により、導入していない飲食店等もHACCP導入を検討しなくてはいけません。
その為には独自の衛生管理を行っていた飲食店等も、HACCPを正しく理解しておくことが重要です。
HACCP義務化で飲食店へ求められる衛生管理基準は高くなる
HACCPに基づいた衛生管理が義務化され、国として食に対しての衛生意識が高くなるので、今後は飲食店に求められる衛生基準もますます高くなるでしょう。
食中毒事故の発生は言うまでもないですが、
「お店内に虫がいた」
「店内が清潔でない」
「従業員が不衛生で気になる」
「厨房が汚くて気になる」
などといった状況は、お店にくる消費者にとってとても重大なポイントとなっていくことが考えられます。
「義務だから仕方なくする」のではなく、その先の衛生管理が店舗経営と繋がってきます。
飲食店を経営している事業主の方は、自分自身を守るためにもしっかりとHACCPを理解して実施していきましょう。
HACCP義務化で飲食店がすべき3つのポイント
HACCPの義務化に伴い、飲食店がするべきことは以下3点です。
・衛生管理計画の策定
・計画に基づく実施
・確認・記録
具体的な管理内容を記載してリストが必要なので、まずは衛生管理計画の策定を行います。
そして、計画に基づいて日々衛生管理を実施し、内容を確認・記録していくという流れになります。
衛生管理計画の策定
HACCPに沿った衛生管理とは、具体的には大きく2種類あります。
(1)一般衛生管理(HACCPの基礎となる調理環境の衛生管理)
(2)重要管理ポイントの管理(主に調理工程の衛生管理)
それぞれを合わせて計画書を作成します。
一般衛生管理では下記項目があります。
・原材料の受け入れ
・冷蔵・冷凍庫の温度の確認
・交差汚染・二次汚染の防止(器具の洗浄・消毒・殺菌、トイレの洗浄・消毒)
・従業員の健康管理・衛生的作業着の着用など(手洗いを含む)
項目ごとに「いつ」「どのように」「問題があったときはどうするか」のパターン別での対応方法を考えます。
重要管理ポイントの管理では主に加熱管理が重要になります。
食中毒菌は、10℃~60℃の温度帯で増殖していくので、食品をその温度帯にしないことが重要となります。
ほとんどの食中毒菌は75℃1分加熱で死滅するため、加熱処理では、温度と時間を意識することが必要です。
計画に基づく実施
作成した衛生管理計画に従い、日々の管理をしていくことが大切です。
リスト化していることで漏れなくチェックができたり、全従業員が相違なく衛生管理に取り組めます。
しかし、通常業務が忙しいとチェックを失念する等の人為的ミスが起きることもあるかもしれません。
管理状況を十分な記録で残せなくては意味がないため、計画書の確認頻度を多くするなどの対策が必要です。
確認・記録
チェックした衛生管理状況はしっかり記録していく必要があります。
食中毒が発生した際には保健所が衛生検査に訪れることがあります。
その時に記録していないといくら実施をしていようとも衛生管理をしていないのと同じになってしまします。
抜き打ち検査もあり得るので、毎日忘れずに記録しましょう。
何か起きてからでは遅いので、実施記録は漏れなく残しておくことが重要です。
まとめ
HACCPの義務化していても導入できていない飲食店は多くみられます。
お店の為、お客様の為に迅速な導入を検討していきましょう。
富士工芸株式会社ではソリューションウォーターの取り扱いをはじめ、HACCP導入のサポートもしております。
HACCP導入を検討している飲食店の皆様はお気軽にご相談ください。